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注目

スローンの計画を乗っ取るシス・エターナル

スローンは帝国の中央集権体制について、帝国の欠陥を分析していました。 皇帝ひとりに過剰な権力を集中させるリスクと体制維持に伴う多額のコストと疲弊を問題視していた。 皇帝ひとりが生きて統治している内は構造上安泰だが、皇帝が人間である以上いつ不測の事態が生じるかわからない。安全保障上、危ない。皇帝が死ねば、帝国の体制は一気に崩れるだろう。 銀河規模の独裁国家を運営維持するにあたり、莫大なコストが生じており、帝国内部の疲弊をスローンは見抜いていた。軍事戦略だけでなく、銀河全域の国家運営を全て帝国が担っていたのである。 スローンの警鐘を皇帝は一応把握はしていた。しかし自身の権力を強化してこその帝国であり、中央集権体制の解除は体制崩壊に等しい。だからスローンは反対された。皇帝の周囲を固めるイエスマン達である。 スローンの提唱する、”効率化に基づいた低コストの銀河統治”、”軍事戦略に特化した非国家主体”は先進的かつ画期的だ。帝国絶世期のターキンのドクトリンとは全く異なる。 皇帝の死後、第二の皇帝の座を拒否したスローンは計画を実行する。体制が崩れている帝国を再編するのだ。 皇帝が有した権限を複数の参謀に分散、権力の集中を根本的に否定する柔軟性ある構造にする。人間ひとりに依存する時代は終わったのだ。安全保障上の懸念を克服すると同時に、効率が良い。中央集権体制を否定、国家運営に消極的にしたので、体制維持のコストは大幅に削減された。面倒な派閥争いや権力闘争を回避、軍事戦略を純粋に追求できるようになる。(国家運営は新共和国にやらせる) シス・エターナルはスローンと帝国残党を注視していた。 確かにスローンを賞賛できる。帝国の欠陥を克服しただけでなく、次世代の帝国を実現。素晴らしい。皇帝の再生に苦労していたシス・エターナルは、独裁者不在でも柔軟に銀河を統治できる体制は都合が良かった。皇帝が生きていたら何と評価するか? そして計画を乗っ取る事を立案する。 スローンの計画は確かに先進的で優れていたが、いつまでも独裁者不在のままでは、いずれ権力闘争に発展してしまうだろう、その内破綻する。いくらシステムが優れているとはいえ、権力の座を妬むのは人間のさがだ。スローンは人間でないので、それを警戒できなかったのだ。 システムが完璧だとしても、人間は完璧ではない。 そこでシス・エターナルは、最高指導者スノー

EP0

ヒューゴの生い立ち

IBCのメンバーだったカー・ダマスクは、惑星マイギートーへの赴任が中間管理職に留まっているキャリアの突破口になると願っていた。優れた能力が認められない事に不満を抱いていたのだ。本人は自覚していなかったが、フォースに敏感だった。その力を操れず、誰かの導きを求めていた。カーの毎日が満ち足りたものとなったのは、ムウンの女性と結婚して、息子ヒューゴを産んだ後である。ヒューゴは人一倍賢い少年に成長した。母親はヒューゴが周りの友達を操って遊ぶ事を助長して、やがてそうした能力に磨きがかかり、他の友達はヒューゴのおもちゃになった。
ある日、マインドトリックの行使でおもちゃを一人殺してしまった。母親はヒューゴに特別で奇妙な力があると言う。その力をこれからも隠し続ける様を約束する。ヒューゴはそれを守った。奇妙な力は隠した方が利用価値があるからだ。

そして、ルージェス・ノームが訪ねてくる。母親はヒューゴにノームに属していると言う。ルージェス・ノームは、フォースに敏感なダマスク夫妻を結婚させ、フォースに敏感なヒューゴを意図的に産ませたのだ。ルージェス・ノームがヒューゴを引き取る代わりにカーはIBCの重役になる。ルージェス・ノームはヒューゴに、ジェダイではなくシスに属していると説き、プレイガスというダースの称号を与える。そして自身がテネブラスであると明かす。これでシスは継承されたのだ。

テネブラスの始末

プレイガスはマスターへの裏切りを画策していた。これまでテネブラスが不意を見せなかったので、秘密裏に始末するには困難を極めた。
二人はシスとして、惑星ボルデムニクに赴く。ボルデムニクに関心を持つのは宇宙生物学者と宙図製作者に限られており、存在を知る者は限られ、シスの任務遂行に支障はなかった。
伝説の鉱石、コートシスの採取である。隠密に終える筈だったが、不測の事故が二人を襲う。明らかに採掘ドロイドの不具合だった。ドロイドを捨て洞窟から脱出する途中、テネブラスが瓦礫の下敷きになってしまう。プレイガスは内心喜んだ。マスターを秘密裏に始末する絶好の機会だからだ。プレイガスは平静を装って、事故の原因すなわちドロイドについて尋ねた。ドロイドはサブテキスト社の物だとテネブラスが答えた束の間、弟子に裏切られた事を察する。
テネブラスの死を見届けたプレイガスは壊れた宇宙船のナビコンピュータから航行の痕跡を抹消、コクピットから旅行鞄とコムリンク、ライトセーバーも回収した。抜かりないのだ。この宇宙船で密かにボルデムニクを発つはずだったが、別の船を手配する必要がある。

洞窟から歩き続け、宇宙港に辿り着く。様々な船を物色したプレイガスはLS-447-3を選ぶ。気付かれずに忍び込むのは容易だった。飛行中、乗組員に気付かれるが、IBCの本拠地ムウニリンストに立ち寄るよう頼む。しかし、乗組員たちはムーン一人を人質にIBCと交渉するという愚かな企てを考え始める。それを察したプレイガスはライトセーバーを使って、全員始末する。
彼らのドロイド、11-4Dの新しい所有者になったプレイガスはムウニリンストに向かう。その前にステーションで船を丸ごと破壊して乗り換えておいた。

プレイガスは本名ヒューゴ・ダマスクとして、ラーシュ・ヒルに迎えられる。ルージェス・ノームが死んだ事を告げた。テネブラスである事を隠せば問題ない。彼の遺産は契約により、遺言執行人のヒューゴ・ダマスクの物だ。シスの財産は継承されたのである。ボルデムニクにはまだ資源がある事を睨んだダマスクは、ボルデムニクを買い叩く様にヒルに命じる。仲介者を通しての買収だ。

その後、予定通り惑星ソウジャンでギャザリングを開催する事を決める。
一年に一度、ダマスクホールディングの幹部12人が、銀河の影響力のある人々を集め、狩りを主催している極秘の催しだ。銀河史の流れを成り行きに任せるのではなく、計画し、戦略を立て、捻じ曲げる場所だ。
訪問客ガーディラ・ザ・ハットは、ナル・ハッタから出てタトゥイーンを支配するつもりだと打ち明ける。ダマスク・ホールディングの経済的援助が必要なのだ。投資の見返りにポッドレース・コースの提供を約束する。
訪問客インチョリのケイフクは、元老院に議席が欲しいと頼み込む。ヒューゴはフォースのマインドトリックで、却下しようと試みたが無駄だった。インチョリはフォースを使った暗示を受け付けないのだ。
訪問客グランのパックスティームは、通商連合が議席を得た事を批判した。
そして、ゴッサムのサブテキスト社の最高責任者を闘牛場の地下に案内する。ボルデムニクの洞窟で、不備なドロイドを使わせた代償を払わせるのだ。引き換えに、何千もの惑星にエネルギー供給可能なプラズマ資源が眠っている事をヒューゴに言う。ミッドリムにある惑星ナブーだ。

ダマスクホールディングは新しい投資先を見つけた。君主制の惑星ナブーでは、王に反対する一派がナブーが銀河の他の星系や中域と交易したいと望んでいる。ヒューゴは今の王を失脚させる目論見を思案しはじめる。

ナブーへの投資

新しい投資先を選んだダマスクホールディングは、今の王に反対するポン・タパロの代理アーズ・ヴェルナに秘密裏に接触する。ラーシュ・ヒル達がナブーの王座を狙っているグループに予備交渉を進めていたのだ。まもなく行われる選挙に財政支援と後方支援をする代わりに、ダマスクホールディングはプラズマ鉱山からプラズマ資源を輸送する独占権を得る気だった。ナブーには財源及び後方支援が必要になる。おそらく共和国の法例すら必要になる。資金援助はIBCに担う目論見だ。

それに反対する王族の主要メンバーの誰かが、鉱脈調査、予備交渉の事を漏らした。極秘に進めていた筈が漏洩していたのだ。同時に未知の後援者がボンタパロに有利な情報をもたらした。すなわち王族の何者かが情報を交換した事になる。調べた結果、ハウス・パルパティーンの息子シーヴだった。シーヴ・パルパティーンは内通者として、利用価値があるかもしれない。

ナブーに赴いたダマスクホールディングのムウン一行は、公式にボン・タパロに売り込みをする。アーズ・ヴェルナが役目を果たしている。製造施設と宇宙港は完全にナブーの支配下だと約束た上で、建築物やシードの地下を縄の目の様に流れている水路を妨げずにソルー川の支流のコースを変更するかなどを説明した。通商連合が宇宙港を管理する。

翌日、ヒューゴはパルパティーンの通う大学を訪問する。図書館の近くで見つけた。彼から自己紹介する気だったが、パルパティーンは既にヒューゴの事を知っていた。マジスターダマスクも知っていた。ナブーの元老院議員を継ぐヴァイダー・キムと親密にしているらしい。
パルパティーンは政治家を目指しているとは言わないが、ナブーの政治形態、共和国元老院の実態について興味を持っていた。ナブーが過去と決別して、より大きな銀河の一員になる事を望んでいるが、父親は反対の立場らしい。パルパティーンはヒューゴに興味を持ち始め、彼のために今後も情報提供をする事を承諾する。
パルパティーンが、些細な罪や違反を犯し私立学校を転校した事、人を殺しても開き直れる事を知ったプレイガスは、非凡で非常な人間である事を認める。狡猾で秘密主義、そしてフォースに敏感なのか疑い始める。

この接触を察した父コシンガは自宅でヒューゴに会う。コシンガはプラズマの発見が望まぬ最悪の事態だと揶揄した上で、70年前のグンガンと傭兵の戦いを再燃させるべきでないと主張した。その戦いで傭兵に資金を提供したのがタパロとヴェルナ一族だったのだ。
息子に接触しないように言われたヒューゴは、親子の間に大きな隔たりがある事に気付く。ナブーの保守と革新の対立を体現している。

パルパティーンは父親を排除させるべく、ヒューゴを利用し始める。マジスターダマスクに利用価値をより認めさせる魂胆だ。父親に対する怒りは並のフォースの現象ではなかった。
この強さに感心したプレイガスは、ダークサイドの許可を与える。権力、力、支配への欲は十分なので、行動に移すだけでよい。
パルパティーンは、宇宙船の中で、父親を含む家族を始末してしまう。本当に行動に移した事をプレイガスが称賛する。敵の排除を遂行してくれた。そして抜かりなく宇宙船の痕跡抹消を手配する。これでパルパティーンはプレイガスのものだ。忠実、狡猾、有能、貪欲に力を渇望する可能性を手にした。そして長年立案していたシスの称号を与える。
「シスはどこにいるんだ?」
「今現在は一人しかいない。もちろん、君が私に加われば別だが」

シーヴを除くパルパティーン一族の失踪にナブー国民は同情を示した。シディアスは湖水地方にある一家の屋敷を売り払い財産を相続、シードのアパートに移った。数々の骨董品やシスの遺物を収集して飾った。初めは立法府青年プログラムのメンバーだったが、5年間議員見習いとして働き、タパロの再選後、大使に任命された。その間、夜はプレイガスによってシスの過酷な訓練、修行に耐えていたのだ。

通商連合に搾取され、元老院に議席を奪われていると主張する辺境の惑星は多かった。ナブーは議席を持っていたが、プラズマ資源を搾取されていると批判する声もあったが、パルパティーンは決してナブーは通商連合の言いなりでないと主張した。仮に通商連合が数々の惑星に議席を持つ事を許したら、元老院におけるナブーの存在価値は揺らぐと言う理論だった。結局元老院では、地理的、物質的な価値がある惑星だけが議席を持つに値する。とプレイガスはシディアスに言った。通商連合はハウス・ヴァローラム、官僚機構を巧みに利用して太り、ナブーはプラズマ資源を存分に利用する魂胆だった。タパロとアーズヴェルナはこれで再選した。しかし、キム元老院議員の主張は違った。

ヴァイダーキム暗殺計画

ナブーの元老院議員のポストをパルパティーンに与える事をプレイガスは画策していた。
突然、キム議員の家族が事故死してしまった。キム議員は、タパロとヴェルナが事故の黒幕だと疑っていた。残る家族はジェダイの息子、ランハーキムだけだ。キム議員はジェダイ評議会に連絡をとるつもりだった。ジェダイに黒幕を暴いてほしい気だったかもしれない。シディアスは面倒な事態になる前にキム議員を始末するようにペスタージュに命じた。ペスタージュは仲介者を通じ、マレイディアンを雇うことにする。どんな契約でも重んじるのだ。ペスタージュは既に二重生活に慣れており、パルパティーンの興味を惹いていた。
マレイディアンは首尾良くコルサントでキム議員を暗殺した。一緒にいたランハーキムは生き延びたが、ジェダイは声明を言わなかった。任務の遂行に関してかなりの高水準を求めるシディアスは不満を漏らしたが、パルパティーンは潔白だった。ヴァイダーキムの葬儀に参列したパルパティーンは、ランハーキムに寄り添い、ジェダイとの関係を築き始める。

パルパティーンは元老院議員のポストを手にして、プレイガスは祝福した。コルサントに移り住んでから、初めての議会に召集されたパルパティーンは、この機会を存分に利用した。ヴァイダーキムの暗殺事件の捜査進展が暗礁に乗り上げていることに遺憾を示し、投票を棄権したのだ。この行為に多くの元老院議員だけでなく、ジェダイでさえも耳を傾け、ナブーの行末を案じた。
パルパティーンは初めて、ドゥークーやサイフォディアスと会ったが、プレイガスはマジスターダマスクとして、既に関係を持っていた。最近もセレノーで接触していたらしく、初対面のシディアスの様子を試す気だったのかもしれない。ドゥークーはパルパティーンとマジスターダマスクの出会いを質問してきたが、プレイガスは言を左右にしてくれた。

プレイガスの不意打ち

投票から三週間後、パルパティーンのオフィスにSTPというロビイストから連絡があった。このロビイストはペーパーカンパニーだったが、シディアスは単身接触する事にする。サンテ社の傭兵にザワークスの工業地帯、廃墟に連れて行かれるが、この首謀者はパックス・ティーム議員だった。
タパロ王に対立するナブー王族からの情報提供で、ティーム議員はヴァイダーキムの暗殺にパルパティーンとヒューゴ・ダマスクが関与している事を見抜いていた。ティーム議員はキム暗殺事件の真実を公表する気だったが、パルパティーンは問題でないと自信があった。まさかキム暗殺事件に遺憾を示した元老院議員が首謀者だと疑う人などいる訳がないと。つまらない展開にダークサイドを爆発させようとした瞬間、プレイガスの指示でペスタージュが救出に来た。プレイガスは釣り上げたティーム議員一味の始末を命じた。

一見落着したと安心したマジスターダマスクは、キャンディット・サークルの入団式に参加する。ソウジャンで開かれるギャザリングに招待されるメンバーも多い。ラーシュ・ヒルがダマスクホールディングの代表者となり、息子のサン・ヒルがIBCの会長になる予定だ。
その最中、何者かに襲撃される。ラーシュ・ヒルは即死して、ムーンの死者もいた。プレイガスは不意を突かれたのだ。

これはシディアスも感じた。キム暗殺に雇ったマレイディアンはティーム一味にも雇われ、なんとヒューゴ・ダマスクを襲う契約を取っていたのだ。自分たちの敵を排除させた筈の連中に自分達が襲われる想定外の成り行きだった。シディアスはプレイガスの救出に向かう。
シディアスはダークサイドを爆発させて、パックス・ティームに復讐する。痕跡は何一つ残さずに。このフォースの乱れをジェダイが感じ損ねるはずがない。

ダマスク・ホールディングの幹部はヒューゴ・ダマスクを残していなくなった。実質プレイガスが会社を相続する事になる。IBCは予定通り、サン・ヒルにやらせる気だった。
ムーンが行ってきた数々の資金工作、裏工作はこうして闇に葬られたのだ。プレイガスは内心喜んだ。これからはシディアスを存分に利用して、ダークサイドの研究に没頭する。

共和国内部への潜入

共和国は繁栄していた。それに伴い元老院は増殖していた。パルパティーンがナブー選出の議員になってから、ダラス、フリックス、カルパナ、ヴァローラムが最高議長に選出された。
コアの繁栄を断固維持しようとするあまり、遠く離れた辺境星系で紛争が多発していた。海賊や奴隷業者、密輸業社、武器商人の取締りが疎かだった。
例えば、インチョアの危機が挙げられる。援助資金により議席を得たインチョリだったが、シディアスによる刺激で、獰猛な彼らは共和国からの脱退を宣言した。シディアスが入手を助けた武器、コードシス・シールドの使用は明らかに共和国の法に違反していたのだ。これはインチョリを反ジェダイ軍として使えるかを試すシスの実験であった。実験の過程でインチョアを従順な軍隊にするには無理であった。想定外にも事態の沈静化に介入したジェダイが二人死亡してしまった。彼らの死体がヴァローラムのオフィスに送られたのは、インチョリなりのメッセージだが、実際に送ったのはペスタージュとドリアナである。

これ以上、事態が悪化しないように私的な準軍事組織を設ける事をヴァローラムは提案する。ヴァローラムが媚び諂っているジェダイの行動だけでは力不足なのだ。インチョア以外も武装戦力を持つのは明白であり、積荷を奪われ、損害を被る通商連合は軍備増強の許可を待っている。今こそ新しい秩序が必要だ。

ヴァローラムは共和国が正規の軍隊を持つ事には反対していた。それを実現する財源も政治的技量もなかったからだ。ジェダイを軍隊として認めないと主張した。無論ジェダイの数は少ない。そもそも彼が最高議長になれたのは、名門一家の血筋とカルパナ家やターキン家と取引したからだ。その背後には通商連合の癒着があった。任期満了が迫る中、ヴァローラムは政治的通貨、すなわち多くの議員との借りを使い果たし、さらに弱体化した。

この政治難題を解決するため、上層部では関税制度を施行する考えが浮上する。

モールを獰猛な戦士に育てたシディアスを、プレイガスは称賛した。しかし、モールは己のダークサイドに酔う自惚れの強い若者だった。エグザキューンの武器を模倣したライトセーバーを見たプレイガスは驚愕する。真の弟子というより、戦闘機械のようだった。勿論、モールはプレイガスの存在を知らない。称賛の証として、プレイガスはレイス・サイナーに作らせた贈り物シミターを手配する。非常に高価な船だ。

ガンレイとドゥークー

ヴァローラムの失脚を画策するシディアスとプレイガスは、まず通商連合のコントロールが必要だと睨んでいた。通商連合の前任の議員ヌート・ガンレイが最適である。”ダースシディアス”としてガンレイに接触する許可をプレイガスは与える。ガンレイはこれから長く使うコマになる。
もう一人、ナブーの王、アーズ・ヴェルナを利用して裏切る事も立案していた。

アーズ・ヴェルナは通商連合との協力関係を終わらせる気だった。銀河で多発する紛争の情勢を鑑みたヴェルナはナブーによる自衛の武装を行っていた。これを聞いたパルパティーンは、通商連合も近い将来武装する事を秘密裏に打ち明ける。マジスターダマスクとの関係を終わらせる事を思案したヴェルナは、ダマスクの暗殺を画策していた。

関税の交換条件に通商連合に武装を許可する、これがヴァローラムとパルパティーンの目論見だった。この関税制度に辺境星系が反対票を投じるのは見えていた。通商連合が払う関税分、辺境星系に対して上乗せされるからだ。一方コア・ワールドは関税を払わずに済む為、賛成票を投じるだろう。その中間にいる通商連合、銀行グループはどちらに転んでも武装できる勝算だった。

パルパティーンはシディアスとしてガンレイに接触する。脅しと興味本位でガンレイはシディアスと契約する。シディアスは通商連合総督の座を約束した。
シディアスは通商連合の7人の理事にガンレイが加わるのを手配して、ガンレイを驚かせた。ここまで力のある人物なら、本当に総督になれる..ガンレイの忠誠心は強まった。言われた通り、通商連合の積荷オーロディウム・インゴットを秘密裏に手放す。

パルパティーンに、ドゥークーから接触があった。どうやら本気でオーダーからの脱退を考えているらしい。ジェダイが死んでいく実情に頭を悩ませていた。中には彼のパダワンもいたのだ。これが評議員にならなかった理由である。20人目の脱退者ドゥークーは、セレノーで伯爵の称号と財産を取り戻し、パルパティーンの大義に加わって協力者になる事を望んでいた。不思議な事に二人の見解は似ていた。元老院の堕落や腐敗を許した結果、共和国の秩序は揺らいでいる。新しいリーダーと新しいシステム、すなわち中央集権の確立が必要になるという意見で一致した。その障害は元老院やジェダイ・オーダーが代表する既得権者達である。
ドゥークーはこの混沌とした銀河に秩序を取り戻すのが”フォースにバランスをもたらす者”であるというジェダイの予言を漏らした。ここまでオーダーに反抗しているドゥークーは、ある程度ダークサイドを理解し始めているかもしれない。支配してコントロールしたい欲求を。

プレイガスはハットからの情報提供で、ヴェルナが暗殺を企てている事を察した。これはシディアスでさえ想定外だった。シミターに乗って生き延びたプレイガスは、コルサントに向かう。暗殺に失敗したヴェルナはダマスクの報復を恐れ、王位を退く。

久しぶりに再会した二人は、大いなる計画が進展している事に満足した。
ガンレイを除く理事が全員事故死して、ガンレイは実質通商連合の総督に昇進した。そして、オーロディウム・インゴットをヴァローラム通運の口座に振り込めば、最高議長の汚職事件になる。
シディアスの画策通り、ヴァローラムはジェダイや司法機関を使う権限すら失う。

こうしてナブー封鎖に着手する準備が整いつつあった。
しかし、ガンレイの部下ハスモンチャーが情報を持ち逃げした。立腹したプレイガスは、モールの派遣を許可する。モンチャーの死後、物的証拠ホロクロンを手にしたシディアスはモールに事件の関係者の始末を命じる。

カミーノへの投資

同時期にプレイガスは、カミーノに投資を続けていた。インチョリでなく、人間のクローンを同時に大量に製造して、軍隊としての製品をジェダイと共和国に提供する。この計画を明かされたサイフォディアスは興奮する。評議員の一員であるサイフィディアスは、共和国は準軍備組織でなく、正規の軍隊を保有すべきという過激な主張を貫いていた。しかし、共和国にはそのような財源がなかったのである。そこで自らの財産を投じるダマスクの要望に彼は狼狽えた。
評議会と元老院にはクローン製造を明かさない条件を彼は了承した。

選挙工作と選ばれし者

長年計画していたナブーの封鎖は実行されるが、シディアスとプレイガスが練った計画は柔軟な変更を余儀なくされた。二人の戦場はコルサントだった。ベイル・アンティリーズ、エインリー・ティームを落選させるためにあらゆる手段を講じ、これは選挙運動というより破壊工作であった。アンティリーズはコアの支持を固め、ティームは通商連合、コーポレート・ポリシー・リーグの支持を得た。ティームがデススティック販売網に深く関わっている汚職をアンティリーズに流し、汚職に関する審問で彼らの支持を消す魂胆だった。そうすれば、パルパティーンに支持が流れ込む。後はヴァローラムに不信任投票をぶつければよいのだ。

女王をコルサントに連れて来たジェダイは、ある少年も連れて来た。ドゥークーによれば、”フォースにバランスをもたらす者”だという聖堂内で噂されているらしい。驚くべきはこの少年には父親が存在せず、ミディ=クロリアンから産まれたようだ。プレイガスが長年打ち込んだ生体実験以上の快挙をフォースが成し遂げた。何としてもジェダイの手に落ちる前に確保する必要がある。しかし、プレイガスはクワイガンに先を越された。

プレイガスの死

プレイガスとシディアスは、パルパティーンの当選は確実だと安心しきっていた。二人とも長年睡眠を取らず二重三重生活を送っていたので、疲れ切っていた。シディアスはプレイガスに過剰に酒を飲ませ泥酔させた。後はシスの電撃を放つだけでよい。シディアスが長年抱いていた裏切りを実行する時が来たのだ。シディアスはあらゆるダークサイドの教えを享受したが、真のマスターになれなければ満足しなかった。プレイガスはあらゆる計画、工作、陰謀をシディアスに実行させた気ではいたものの、実際の実行者はシディアスであった。プレイガスの生体実験の成果は玩具に過ぎず、これ以上シスの教えは必要ないと捨てきった。
遂にヒューゴ・ダマスクは息絶え、モール亡き今、シスはパルパティーン一人になった。

ダークサイドはパルパティーンが最高議長に当選した事を認めた。シスが銀河で一番の権力者になったのだ。この報酬に、ダークサイドはアナキンスカイウォーカーを与えた。この少年の潜在能力は計り知れない。パルパティーンは優しく観察して、よき理解者、助言者になるように努める

ヒューゴ・ダマスクの死をダークサイドは祝福した。シスの教義、二人の掟は絶対だったのだ。
プレイガスはそれを疎かにしたので、シディアスの裏切りを予期できなかった。しかし、シスの教えの多くは確実に継承された。次に誰に継承すべきか考えていた。最有力のドゥークーに与える称号は”ダースティラナス”だ。ドゥークーをダークサイドに落とす過程で、ジェダイの弱点を見つける。最高議長なら、銀河で一番ジェダイと親密になれる。ダークサイドの曇りはフォースが強いヨーダでさえも欺けるはずだ。そして、大いなる計画を着実に浸透させる。

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