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キャシアン・アンドー 第七話 感想(ネタバレ注意)
危機的状況におけるISB内部の様子は、帝国の欠陥を露呈している。
皇帝はISBの初動の早さを評価、ISBに多大な権限を与える。
これは帝国内でISBの指揮権が認められた事を意味する。ユラーレンは皇帝に感謝している。
デドラミーロは保身の為ではなく、純粋に帝国の為に職務を遂行している。
対照的にブレヴィンは保身の為に危機的状況を利用して、デドラを蹴落とす気だ。
二人を部下に持つパルタガズは冷静に競わせていた。(皇帝の影響)
仮にここでブレヴィンの言い分を認めれば、ISBはデドラの警鐘を無視してしまう。
事実、デドラの反乱分子に関する警鐘は正しい。荒技で強引でも縦割りを意識せずに全体を俯瞰、分析して組織的犯行を実証した事は評価に値する。危機的状況では尚更だ。初期段階でミスが許されない事をよく意識している。
結局パルタガズはデドラの主張を認める。帝国にとって有益で正しかったが、ブレヴィンに不満を抱かせる面倒な事態を招く事となった。この状況では相応しくない。
つまり二人を同じ階級に着かせるのは、不都合なのだ。
互いに帝国の為に積極的な意見交換をするなら競わせる価値があるが、個人的利益を優先する者と組織の利益を優先する者を一緒にすると、絶対に問題が生じてしまう。
今回パルタガズは正しい判断を下せたが、別の人間だったら正しくできるか保証できない。
対立する二人を競わせやすいかにもかかってくるだろう。
危機的状況においては、早く判断しなくてはならない。
今回のこの一部始終は帝国内部を調査する分析機関が聞いている可能性がある。
ISB内部にも大量の盗聴器があるらしい。
これは憶測だが、危機的状況において帝国組織の欠陥をあぶり出し皇帝に報告する。
導き出された結論は、全ての人員をまとめて統合化するべきではないという事だ。
一人一人には能力や忠誠の度合い、特技や欠点など多岐に渡る。画一的にまとめて組織を構成したら、余りに効率が悪い。こういった考え方は当時の帝国にはできなかった。
つまり、デドラのみ引き抜き別系統の階級に組み込んで、ブレヴィンにはデドラの移動を説明する。別系統とは帝国により高い忠誠を尽くす集団だ。その集団の存在をブレヴィンには伏せる。二人にとって納得のいく、かつ帝国の益になる仕組みになる筈だ。
しかし、全ての人員を一つに統合する当時の帝国には難しいだろう。
※後のファーストオーダー計画では、皇帝はファーストオーダー以外に別系統のファイナルオーダーを作った。全ての人員を統合化しなかったのである。ファーストオーダー内部の本当に忠誠心のある優秀な人材を引き抜き、こっそりエクセゴルに送った。帝国の頃の欠陥を克服したのである。ファイナルオーダーの存在をファーストオーダーは知らなかった。つまり別系統の存在に気付かなかった。