注目
スローンの計画を乗っ取るシス・エターナル
スローンは帝国の中央集権体制について、帝国の欠陥を分析していました。
皇帝ひとりに過剰な権力を集中させるリスクと体制維持に伴う多額のコストと疲弊を問題視していた。
皇帝ひとりが生きて統治している内は構造上安泰だが、皇帝が人間である以上いつ不測の事態が生じるかわからない。安全保障上、危ない。皇帝が死ねば、帝国の体制は一気に崩れるだろう。
銀河規模の独裁国家を運営維持するにあたり、莫大なコストが生じており、帝国内部の疲弊をスローンは見抜いていた。軍事戦略だけでなく、銀河全域の国家運営を全て帝国が担っていたのである。
スローンの警鐘を皇帝は一応把握はしていた。しかし自身の権力を強化してこその帝国であり、中央集権体制の解除は体制崩壊に等しい。だからスローンは反対された。皇帝の周囲を固めるイエスマン達である。
スローンの提唱する、”効率化に基づいた低コストの銀河統治”、”軍事戦略に特化した非国家主体”は先進的かつ画期的だ。帝国絶世期のターキンのドクトリンとは全く異なる。
皇帝の死後、第二の皇帝の座を拒否したスローンは計画を実行する。体制が崩れている帝国を再編するのだ。
皇帝が有した権限を複数の参謀に分散、権力の集中を根本的に否定する柔軟性ある構造にする。人間ひとりに依存する時代は終わったのだ。安全保障上の懸念を克服すると同時に、効率が良い。中央集権体制を否定、国家運営に消極的にしたので、体制維持のコストは大幅に削減された。面倒な派閥争いや権力闘争を回避、軍事戦略を純粋に追求できるようになる。(国家運営は新共和国にやらせる)
シス・エターナルはスローンと帝国残党を注視していた。
確かにスローンを賞賛できる。帝国の欠陥を克服しただけでなく、次世代の帝国を実現。素晴らしい。皇帝の再生に苦労していたシス・エターナルは、独裁者不在でも柔軟に銀河を統治できる体制は都合が良かった。皇帝が生きていたら何と評価するか?
そして計画を乗っ取る事を立案する。
スローンの計画は確かに先進的で優れていたが、いつまでも独裁者不在のままでは、いずれ権力闘争に発展してしまうだろう、その内破綻する。いくらシステムが優れているとはいえ、権力の座を妬むのは人間のさがだ。スローンは人間でないので、それを警戒できなかったのだ。
システムが完璧だとしても、人間は完璧ではない。
そこでシス・エターナルは、最高指導者スノークという身分を利用する。意図した脆弱さが備わっており、決して第二の皇帝ではなく、皇帝のように貪欲に権力を求めず権力を集中させない。つまり独裁者というよりシステムの管理者という意味合いだ。
分散化した帝国を管理して決定権はあるものの、参謀たちに主体的にやらせて、柔軟性ある体制を構築した。スノークの身に不測の事態が生じても柔軟に対処できる。体制維持のコストは大幅に削減された。従ってスノークひとりに負担がかかる事は構造上起きない。
周囲はイエスマンにならず、間違った判断を下すリスクを軽減する。純粋に優れた軍事戦略を考えられる。最小の行動で最大の戦果を得られるように。
スローンの計画をシス・エターナルが完成させたのだ。ファーストオーダー計画である。