注目
ファーストオーダーはJJの傑作
大衆映画の究極を目指し、ルーカスの創造した6作を”拡張”したのである。
並の人間にはできない偉業だ。
これまで多く批評されてきたが、ここでは「帝国」について論じたい。
プリクエルのクローンウォーズ計画に匹敵するアイデアをJJは目指していた。すなわち皇帝不在の帝国はどうなったか熟考したのだ。皇帝という絶対的能力を有する最高権力者と右腕ヴェイダー卿を失った、その後の帝国をどのように作品に仕上げるかである。
帝国は敗北を認めるか?第二の皇帝は出現するか?帝国の体制崩壊?
帝国の欠陥を分析する事が求められた。
おそらく帝国は一気に崩壊の道を歩むだろう。
しかしその状況を利用しようとする新たな悪役の登場はどうか。
とはいえ皇帝を継ぎ、帝国の体制崩壊を食い止めるようなストーリーはつまらない。新しい次世代の帝国を創造できるチャンスをJJにもたらした。
帝国の欠陥を克服した次世代の帝国である。
帝国は国家運営から安全保障、体制維持まで全てフルスペックで銀河を統治する大規模な国家だった。当然、反乱同盟相手に疲弊していただろう。資源を無限に使う発想だから、効率が悪い。
従って、低コストな特殊作戦を主体とした軍事組織がいいだろう。
これがファーストオーダーの始まりだ。しかしそんな難しい話は観客に分かってくれないだろうから、視覚的に最新の帝国をデザインさせる。何となく、「帝国も進化しているんだなぁ」と思われるだろう。
スノークは皇帝ではない、ファーストオーダーは国家ではない、など詳細に設定すれば、理解してくれる筈だ。原点回帰したシンプルなシークエルの裏に膨大な考えが潜んでいる。こういうのに気付くのが醍醐味だ。
個人的に、ファーストオーダーはクローンウォーズに匹敵しなくても、対等に肩を並べられると思う。ルーカスも評価されておられるだろう。
JJの脚本はカノンを構築する上で強靭な骨格であり、優れた設定とストーリーを利用して次々にカノン作品が生まれていく。”拡張”を見事に成し遂げた。